VOX AC4HWR1 ハンドワイヤード











VOX AC4HWR1
原点回帰へ
ヴィンテージを超える
新しい「ハンドワイヤード」
1960年代のアンプに隠された「マジック」とはなんなのか?
ヴィンテージアンプが高価で取引されているのは、その希少性はもちろんですが、その時代のアンプ特有のサウンドが非常に魅力的であり音楽的だからであります。1960年代から「ほぼ同じ回路」で作り続けられているVOX AC30ですが、60年代のアンプは筆舌し難く「芳醇」で「音楽的だ」と言われています。今回「本家VOX」は「ヴィンテージサウンド」に向き合いその秘密を紐解くと共に、状態の良いヴィンテージを血眼になって探す事なく、容易に入手できるようにしたい、と考えました。
1. ヴィンテージアンプの「特性」を再現
1.1 新しい特殊な電源トランス/電源回路
例えば回路やパーツの配置、数値は同じであっても、これまでの「現行品」と「ヴィンテージ・アンプ」の電源の動的/動作特性は大きく異なっていました。
当然のように、最新の電源回路はクオリティーが高く、安定して動作します。これが「良質な電源トランス」とされるからです。電圧変動が発生しない(少ない)ように設計されています。これによって安定した品質とサウンドが生まれますが、ヴィンテージ・アンプ特有のプリっとしたアタックの「コンプ感」、ドライブの余韻を生む「サグ感」は失われていました。
また、ただ単にヴィンテージトランスの特性を真似すると、特に大音量時に「ゴーストノート」というギターの実音とは無関係な音程感のある異音が出力されることがあります。サウンドを優先させるか?ゴーストノート対策を優先するか?という中で、かつての「AC30 CC2」では電源の平滑回路を切り替えるスイッチを搭載して対応していました。
そこで今回のハンドワイヤードシリーズではヴィンテージのAC30の電源回路を改めて測定/見直しています。新設計された電源回路では1960年代の電源トランスをコピーするのではなく、その特性に迫った電源トランスと回路を採用し、サウンドとレスポンスを犠牲にすることなくゴーストノートの対策も施されています。非常に有機的で音楽的なハーニックドライブ、レスポンシティヴで心地よいクリーンサウンドの両方が得られる事に感動して下さい。
1.2 出力トランス
出力トランスも仕様上では「全く同じスペック」であったとしても「全く異なる音」になってしまう事が常です。しかし、出力トランスで発生する「マジック」は間違いなく、ヴィンテージ・アンプの心地よい倍音成分を生み出す要因の一つです。これはトランス部分での飽和(サチュレーション)が生み出すものです。しかしながら、トランス=変圧器のスペックからサチュレーションを測定する事は困難であるため、何度も試作を繰り返すしかありませんでした。ついにヴィンテージ・サウンドを生み出すスペックを導き出す事に成功し、そのスペックに準じてオーダーしたカスタムトランスを採用しています。
1.3 アナログ/アナログ/アナログ
今回のハンドワイヤードシリーズでは、キャビネットに使用する板材の厚さも見直しました。1960年代のACシリーズ・キャビネットには現行品よりも薄い板材を使っていました。これは当時、悪名が高く「壊れやすい/ツアーには不向きだ」と言われていたものです。しかしながら、その材の厚さから生まれる豊かなミッドレンジと広がりのあるサウンドがありました。
今回のキャビネットはすべてのモデルでヴィンテージ・アンプと同じ板の厚さとし、よりヴィンテージの様な軽やかな鳴りを実現しています。
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2.ノン・オリジナル・スペック
60年代当時の仕様をそのまま受け継いだアンプは素晴らしいものです。しかし今回はシンプルを維持しながら実戦で使いやすい機能を併せ持たせ、現代的なミュージシャン/ギタリストにも使いやすい機能を搭載しています。
2.1 こだわりのスプリングリバーブ
ヴィンテージアンプのサウンドの魅力は、やはり「浸れるサウンド」であるという事です。さらに何か「浸れるポイントを作れないか?」という事で採用されたのがスプリングリバーブです。
あえてショートボックスを採用する事でVOXアンプと相性の良いスプリングリバーブユニットに仕上がっています。さらにAC4とAC10のリバーブ回路はFETドライブを採用し、AC15/AC30では真空管ドライブを採用しています。方式は違えどサウンドへのこだわりと質感を生み出すために、リバーブドライバートランスに関しては全てのモデルで共通のトランスを採用しています。このトランスで生まれる微妙な歪みがリヴァーブサウンドをより素晴らしいものにしてくれます。
*リヴァーブは同梱のフットスイッチにてON/OFF可能です
2.2 FXループ
ACシリーズが誕生した60年代に比べて、現代では自分のサウンドを作るために多くのエフェクトを組み合わせることが当たり前になりました。そんな時に問題になるのが「歪んだアンプと空間/モジュレーション系エフェクト」との組み合わせです。特にフルアップのACアンプならではのスムーズなドライブサウンドを活かしながらエフェクトを駆使するとなると…必須なのは高品質なエフェクトループでした。もちろん、チームはただエフェクトループを装備しただけではありません。トゥルーバイパス可能/FETバッファード・ループなのはもちろん、+4dB/-1odB切り替えスイッチも採用しています。
2.3スピーカー出力
外部スピーカーでAC4を鳴らすためのEXTERNAL OUT スピーカーアウト(16オーム)をご用意(アッテネーター等は接続できません/本体のスピーカーはミュートされます)
真空管構成:
ECC83/12AX7 x 2、EL84 x 1
スピーカー:
12インチ 16Ω Celestion G12M Greenback x 1
寸法 (幅 x 奥行 x 高さ):
416 x 243 x 474mm
質量:
13.6kg