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【村田ブログ】- Steve “LUKE” Lukather Signature – 】VOL.1

【村田ブログ】- Steve “LUKE” Lukather Signature – 】VOL.1

スタッフ村田目線でみるミュージックマン。第一回はルカサーモデルです。

フーチーズ(というかクルーズ)に入社した頃は大嫌いだったルカサー。その理由はあまりもに多くのミュージシャンの皆さんがルカサー/totoの音を求めていたから、です。「またルカサーの話か…」と。

それでも楽器業界で20年も働いているとルカサーが如何に優れたミュージシャンでどれほどの影響力を持っているか、と言う事を思い知らされます。そしてLAのワルガキ的「やんちゃ精神」とクラシックロックへの敬意が同居する独自のプレイスタイルは唯一無二であり、一聴して解るLUKEの「あの音」。いわゆる「セッションマン」では無く「自分自身の音」を持つミュージシャンであると言う事も。「良い音」を見つけて追いかけたら「なんだLUKEじゃん…」なんて事も多々あり。認めたくないけどLUKEが「世界のトップギタリスト」と呼ばれる所以を思い知らされました。おっさんになっても普段からAll Starやスリッポンを履いてるところも…良いですよね。


と言う事で今回から数回に分けてミュージックマンのスティーヴ・ルカサーモデル”LUKE III”をピックアップ。ルカサー嫌いだった村田の目線で見ていきます。

まずはルカサーを知る

ルカサーといえばプレイスタイルのみならずその「音」が多くのミュージシャンに影響を与え、特にスタジオミュージシャンの皆さんの指針の一つにもなっているかと思います。ただ、面白いのはLUKEを「いつ知ったか」によって氏の音の捉え方が異なると言う点があると思います。

私は80年代のLUKEサウンドはあまり好きではないのですが、LUKE本人も「あれはエンジニアとプロデューサーの意向で作られた音だ」と言っていました。「音楽にとって良い時代ではなかった」とも。本人談としても言い過ぎな気がしますが…
でもあの時代のLUKEサウンドが大好き、と言う皆さんも多いでしょう。その時代に出会ったのですから当然です。

LUKEは70年代後半から80年代、セッションやtotoのキャリア初期でギブソンのレスポールデラックスや1959年 LP(totoのセカンドあたりから使用)同じくギブソンのES-335など使用したりと、いわゆる質の良いヴィンテージギターを愛用していたといいます。あの「Beat It」のメインリフもバーストの音だとご本人が言っています。

ちなみに自身のMusicmanで弾いている動画です。

これをみるとわかるのですが、やはりLUKEの音はLUKEの演奏の音、なんですね。

この曲のリードもバーストで弾いているらしいのですが、今のLUKEがMuisicmanでこのフレーズを弾いても、多分同じ音になると思います。

もちろん、レスポール/ハムバッカーならなんでも良いと言うワケではなく、例えばレスポールに関しても

所有していたコレクションでも「60年LPはネックシェイプが好みでないし、音も好みでない。57-8年LPは好きだけど、あまり手に取らなかった」という事も言っています。

これはレスポールモデルを正しく知っている人なら理解できる話だと思いますが

  • ゴールドトップLP=アルニコ3の音は好きだけど、本人的には物足りない=多分少しガッツというかBITEが足りない感じ。
  • 60年LP=薄いネックなので、59年とは異なるサスティーン。ピックアップのサウンドも少しハイ上がりな印象。

つまり(主にネックの問題だとは思いますが)59年と比べると60年LPは「奥行き感/リッチさが物足りない」という事になるでしょう。

 *これはあくまで「59年LPと比べて」という話です。LUKEは73年の335や70年代のLP DLXも好きだ、と言うことを忘れないでください!

話がそれましたが、まとめると「LUKEが好むハムバッカーのサウンドは59LPの感じ」という事が言えると思います。

で、こちらはLUKEが参加したピンクフロイドトリビュートから
Shine On You Crazy Diamond

どうでしょう。
「これぞLUKEのシングルコイルサウンド」という音だと思います。

LUKEのサウンド、とりわけスタジオセッションではシングルコイルの煌びやかなサウンドが印象的だと思います。エフェクトサウンドは(本当かどうかは分かりませんが)「エンジニアやプロデューサーの意向でやった(作った)音。それをライブで再現するためにラックを組んだ」という発言もあったので本来LUKEはドライなシングルサウンドを好んでいる、のだと思います。

また、特にフェイバレットなミュージシャンにピンクフロイドやヘンドリクスを挙げているので基本的にはラージボディー/グレイボビンのシャープなサウンドが好きなはず。しかしながらLUKEは何本もヴィンテージストラトを買ったが、ヴィンテージストラトにハマらなかった、という話です。要するに「いまだに気に入った1本に巡り会えていない」という事でしょうか。

そう言った事もあり、セッション初期からLUKEのクリーンサウンドといえばヴァレイアーツのスーパーストラト/EMGのイメージとなります。今でいうSLVx2と85のセット。このシングルコイルの音は非常にシャープでスピード感があります。その音は確かにブライトでパワーのあるラージヘッドストラトのイメージに通じます。

結局LUKEは60年代後半のストラトのサウンドを好みながらも、そのヴィンテージギターをスタジオワークで使うことはなかった、という事になります。理由はストラトの演奏性(好みか否かと言うこと)と、グレイボビンシングルが拾ってしまう「ハムノイズ」にあると想像できます。と言うわけでLUKEのシングルサウンドのイメージはヴァレイアーツ(エボニー指板)+ EMGのサウンドになったと言う事になります。


これらの事を整理して、次回からは改めて現在のLUKEシグネイチャーモデルであるMusic Man LUKE IIIを見ていきます。

↓関係ないですが ウィーザーによるtoto “Africa”のカバー。ちょっと悪ふざけ(マジでやるのは恥ずかしい)ですが、真面目にやっているスタジオミュージシャンのカバーより圧倒的に完成度が高いのでは?と思うのは気のせいでしょうか。