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【村田ブログ】VOX AC30 #2

【村田ブログ】VOX AC30 #2

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの新譜が発売となり、12月には来日公演も…

という事で、先月号のギターマガジンはノエルギャラガーが表紙。本文インタヴュー中にもVOX AC30やAC50というアンプが度々登場しています。さらに来日アーティストの機材紹介ではRide(ライド!)のMark GardenerがVOX AC30を使用していたり…さらにはTHE INSTRUMENTSのコーナーでVOX AC30が取り上げられていたりと随所でVOX/AC30の姿を随所で見ることができます。ところでノエルで言えば海外のyoutubeチャンネルで珍しく(割と)丁寧に楽器の説明などもされていましたが、大変興味深いものでした。詳しくはこちらから

という事でVOXです

アメリカンスタンダードがフェンダーのデラックスリヴァーブやツインリヴァーブだとすると、やはりブリティッシュスタンダードはVOX AC15/AC30になると思います。もちろんブリティッシュ=Marshallの存在も大きいのですが、英国での基準で言えばVOX AC30の方がスタンダードと言えるのではないでしょうか。日本では英国ブランドアンプと言えばVOX AC30よりもMarshall JCM等のアンプの方がスタジオに常設されていたり、ライブステージで見かけることが多いので、多くの人が圧倒的にMarshallこそブリティッシュスタンダード!だと思われている様ですが、英国の知人やスタジオに聞くとVOXをスタンダードとすることが多いと思います

VOX AC15/30はレコーディングアンプなのか?

よくイギリスのアーティストは「ライブではMarshall 1959やORMANGEを置いているけど、RECの基本アンプはVOX AC30だよ」という人がいたり、ステージに10台近く様々なアンプを並べるMVBケヴィンシールズの様な人でも「実は常に鳴っているのはVOXで、他のアンプはそれに追加してサウンドを変化させるためらしいですよ」という関係者からの話も聞いたことがあります。ライブだと音量が欲しいからMarshall=100WアンプだけどRECではVOX=30-50W、これ、結構基準になっていると思います。Dinosaur Jr.のJ.マスキスもレコーディングではVOX AC15を愛用する様ですが、ライブだとLOUDである必要がある?ためMarshall Super Leadなどを使用する様です。もちろん、LOUDなバンドサウンドを追求する皆さんにはSuper Lead=100Wが必要でしょう。でもライブPAエンジニアの多くは、都内の300人ー500人規模のライブハウスに適したギターアンプの出力hは18-30W程度ではないか?と言います。ギターアンプのボリュームをある程度上げ、アンプが程よくドライブした状態でドラムとの音量バランスが良い事。これは質の良い真空管アンプサウンドを引き出す一つのコツでもあります。同じプリアンプであれば、100W真空管アンプのボリューム3よりも30W真空管アンプのボリューム8の方が良い音が出る…個人的にはそう思います

VOX AC4もレコーディングに最適なアンプです
詳しくはこちらから

AC30の「何が」良いのか?

AC30の良さはコントロールがシンプルなところです。一見たくさんのコントロールがありますが、MASTER VOLUMEとTONE CUTと呼ばれる回路、そしてREVERBのLEVELとTONE、TOREMOLOのDEPTHとSPEEDは共有コントロール。つまり、一番操作するであろうゲインとEQのセクションは超シンプルなのです

例えばNORMAL CHANNELに作用するコントロールはVOLUMEしかありませんし、TOP BOOST CHANNELでもVOLUMEとTREBLE、BASSというコントロールのみとなります。こんなにシンプルなのに、なぜか扱いが難しいと思われてしまうVOX… その理由は多くの方がTOP BOOST CHANNELを使用し、さらにペダル類を組み合わせて使用するから、だと思います。

NORMALよりもTOP BOOSTを選びたくなる理由

TOP BOOST CHANNELはクリーンからクランチ/リードまで、素晴らしくチャイミーなサウンドが得られます。しかし、オーバードライブ/ディストーション/ファズといったペダルとの相性が(誤解を恐れずに言えば)「とても悪い」です。頭打ちされたブチっとしたサウンドで、クリーンブースター程度であれば良い結果が生まれますが、歪量を増やすペダルとの相性ははっきり言って良いと言えません。このチャンネルはNORMALチャンネルに比べるとゲインが高く、さらにTREBLEとBASSというアクティヴEQ=BOOSTが備えられています。つまり「よく歪みそう」で「TOPエンドが伸びそう」なイメージ=誰もがTOP BOOSTを選び理由になるでしょう
しかし実際には、このチャンネルはペダル類などを使用せず、ギターをダイレクトにプラグインして使用する事で、その本領を発揮するチャンネルだと思います

NORMALチャンネルの極意

もし、スタジオやライブ会場でVOX AC30を使用する場合…特にオーバードライブなどを使用して音を作る皆さんは、NORMAL CHANNELに接続してみてください。CUTは反時計回り(ゼロ位置)でMASTER VOLUMEは12時方向で。これで倍音もありながらフラットなギターサウンドが楽しめると思います。2つのINPUT(HIGHとLOW)がありますが、ゲインが高いペダルを使う場合はLOWに、オーバードライブならばHIGHに、とコンビネーションを変えてみてもきっと良い結果が得られると思います。このHIGHとLOWも基本的にHIGHの方が歪みそうだから…という理由で選ぶ人が多いと思いますが、LOW側の方が素直でクリーンなサウンドが得らるので、エフェクターとの相性は抜群です

だからVOX AC30

という事で、英国ロックサウンドに欠かせないアンプ「VOX AC30」を好きすぎる私=村田が、イマイチ日本国内で正当に評価されていないAC30について思う事を書いてみました。トレブルブースターもFUZZもAC30で鳴らすのが一番良いんじゃないかと思っていますし、録音してもクリーンサウンドがこれだけしっかり録音できるアンプなのにコスパ最高のAC30を、もっと皆さんに使って/知って欲しいなぁ、と思っています。ビートルズだけじゃなく、本当に多くの名盤でAC30の音が聴けるんです

今回も長い文章になってしまいました。読むの面倒で飛ばされちゃうかもしれないので、今度動画か店頭のイベントで「VOX AC30使いこなし」を企画しようと思います

村田

トムヨークも長年AC30の愛用者 画像ソース@twitter