【村田ブログ】tc electronic 2290 P DYNAMIC DIGITAL DELAY
tc electronicを代表する「機材」とも言える2290ディレイが、なんとペダルタイプでリニューアルされました。
これで先に発売されたKORG SDD-3000 PEDALとRoldand SDE-3000Dに続き、ディレイの名機3種が復活した事になります。KORG SDD-3000 PEDALは残念ながら廃盤となっておりますが、それでも一つの時代を作り上げただけでなく、現在でもプラグインやトリビュート品が多いこれらのペダルをオフィシャルが再発してくれるのは嬉しい限りです。
SDDとSDE、そして2290にはディレイの名機として共通のポイントがあります。そのサウンド、モジュレーション効果はもちろんですが、使い勝手の良さ、という点です。
ラックマウント機材=スタジオクオリティー機材という事で音が良い云々は当然クリアしているわけですが、その中から多くのアーティストが選んだ理由の一つが操作性です。
ディレイのパラメーターといえばディレイ・タイム、フィードバック、ディレイ・レベル、加えてディレイの名機に欠かせないモジュレーション効果があります。コントロール的には「デプス」と「スピード」ですね。これらコントロールが全て直感的にコントロールできるのが名機の特徴であります。
確かにこれらの名機ディレイは他にも多彩なコントロールが可能ではありますが、基本的にはシンプルで原音に絡みつく様な、それでいて音に分離感もあるという不思議なディレイサウンドが魅力だと思います。
KORG SDD3000はコントロールがツマミ型で直感的、Roland SDE3000ではツマミではなくアップ/ダウンスイッチとなっていますが、同じ様に直感的にコントロールが可能。そしてtc 2290では全てのパラメーター値がデジタルカウンターで表記されている点と、特徴的なテンキーのおかげでさらに直感的なサウンドメイクが可能な事も多くのミュージシャン/エンジニアに選ばれた理由でした。
2290の特徴
2290はシンプルな使い勝手のほかに、細かなエディットが容易に行える所も利点だと言えます
オリジナル2290では5つのエフェクトルーティング機能などもあり、故 佐久間正英氏をはじめシステムのメイン機として使用しているミュージシャンも多かったと思います。また2290特有のサウンドとして演奏を止めるとディレイ音が鳴り出す「ダイナミックディレイ」や設定次第でコーラスやフランジャー、トレモロ的なサウンドが得られるのも2290の特徴でした。
ペダルバージョン2290Pではエフェクトループこそ1系統(モノラル使用時にディレイ音にかけるためのエフェクトループ)になった他は、欲しい機能は全て網羅していると思います。MIDI IN/OUT対応に加えエクスプレッション機能、USB Cによる制御やアップデートなどを含めて単なるディレイとしての機能を超えたサウンドメイクが期待できます。
とはいえ、2290で最も特徴的なのはその音です
2290はオフィシャルからのコメントにあった様に「中身はほぼアナログディレイだった」という点に注目してください。また、USB経由でエディットしてやることで、トゥルーバイパスとバッファードバイパスを切り替えること事も可能です。例えばSDD3000といえば「プリアンプサウンド」が注視されがちですが、実際には2290でも同じ様な効果があります。ゲインブーストは行えませんが…特に真空管アンプの手前に置いて使用してみれば、その事がご理解いただけることでしょう。バッファーサウンドは2290ならではの「あのサウンド」でAC30やプレキシなどと組みわせると高域のピークが落ち着き、スムーズなサウンドに感じられるます。トゥルーバイパスモードでは音色に色付けは見られません。アンプの手前/アンプの後段…いかなる信号経路にもフィットします
自然なサウンドでエコー的からクリアなディレイサウンドまでを生み出せる2290Pはノスタルジックな機材ではなく、まさに現代的なサウンド/要求にも応えられるペダルに仕上がっています。
店頭で是非お試しください
村田