【村田ブログ】Torpedo REAORD IIを知る
Two notes(トゥーノーツ)のTorpoedo (トルピード)REROAD II(リロード2)の一部機能を動画にてご紹介しました。こちらです
今回はこの製品についてさらに深くマニアックに追求していきたいと思います。(はい、多分長くなります…)
Two Notes Torpedoとは
Two NotesといえばWall of Sound(WOS)というスピーカー/マイクシミュレータープラグインが最も有名でしょう。世界中で愛用されており、Two Notesのアカウントを作成すれば、本国のサイトからトライアル版をダウンロード可能です。
現在では常識となったバーチャルのスピーカーが表示される画面で2つの異なるキャビネット、2つの異なるマイキングの組みわせが自由にできるetcのフォーマットを広く認知させたのがWOSであると言っても過言ではないでしょう。

2008年ごろに爆発的に広まったインパルスレスポンス(IR)を使用したキャビネットシミュレーターの中でもRedWirezやOwnHammerはソフトに限定されていたのに対し、Two Notesはソフトとハードの統合で主にライブミュージシャンに新しい可能性を提示してくれました。IRを使った最初のキャビシミュは?」という意味であれば RedWirezが技術的先駆者ですが、「IRを誰でも使いやすい形に進化させたソフトは?」という意味ではTwo Notesが先駆け/代表格ともいえます。
そんなTwo-Notesの最新機種がフルアナログのREROAD IIというのは非常に興味深い点です。ではREROAD IIとはなんのか?

フルアナログ設計のアッテネーター+パワーアンプ
Reload IIは完全にアナログ信号経路で構成されており、特にチューブアンプの「生の音の挙動」を正確かつレスポンシブに再現します。電子回路的な信号処理よりもアナログの特性にこだわった設計を優先している点が、他のデジタル/モデリング系製品と大きく異なります。

フルアナログ・リアクティブアッテネーターと呼ばれるRelordIIは単なるアッテネーター(抵抗負荷)ではなく、リアクティブ(反応型)負荷回路を使用しています。キャビネットとアンプ間におけるリアルなインピーダンス挙動を再現し、さらにCelestionのキャビネットレスポンスを模倣した「Celestion® Approved Load Response」を搭載しています。これはCelestion社に承認されたインピーダンス特性を持つ回路設計です。ちなみにCelestionの特定のスピーカーではなくCelestionライン全体の特徴を平均化して再現する形で開発されています。*このロードレスポンスは真空管アンプ入力に対してのみ動作します。
クリック式ボリューム(クリック感があるツマミ)を採用した無段階アッテネーションコントロールは連続可変で、プレイヤーは部屋鳴りやモニターレベルに応じて最適音量を直感的に調整できます。フロントパネルの大型ノブはスタジオでもライブでも即座に音量管理しやすい設計だといえます。さらにリアクティヴならではのインピーダンス対応(4 / 8 / 16Ω)で幅広いアンプ(ヴィンテージ~ハイゲイン)に柔軟に対応します。

ロードボックス(スピーカーなしでの使用)も可能で、スピーカー出力の代わりに完全な負荷(リアクティブ)として機能します。スピーカーを接続せずともチューブアンプを安全に鳴らしながらライン録音が可能です。

フロント&リア出力の柔軟性
アッテネート後の信号は、ライン出力(バランス/アンバランス)やDI出力として利用でき、リアルスピーカーとライン出力の同時接続が可能です。レコーディングやベッドルームでの使用はもちろん、大規模なライブシステムの中枢としても機能します。
アンプのトーン変化を極力抑制する回路設計
多くのリアクティヴ・アッテネーターは、高域のロスなどトーンの変化が生じてしまいますが、Reload IIはアッテネート機能と出力機能の両方を分けてデザインされており、音質の変化を最小限に抑える設計となっています。
2チャンネル設計
ROLORD IIには2つの入力チャンネルがあります。アンプインはモノラルで1つのみですが、LINE INは2つ用意されています。つまりアンプとライン(モノ)を使用したり、アンプモデラーやプリアンプをステレオでラインインすることができます。フロントパネルの入力切り替えを操作することで、それぞれの音量を任意にコントロールすることができます。
エフェクトループ
各チャンネルには独立したエフェクトループが用意されています。さらに独立した-10dBまたは+4dB切り替えスイッチも用意されており、プロ機材からストンプボックまで、様々な機材との接続に対応します。加えて、 独立したDRY WET MIX(ノブ&スイッチ)まで用意されており、DRY/WET MIXの動作を各チャンネルごとに設定できます。他にもDUAL MONO / LINK も興味深いデザインです。DUAL MONOモードでは、各RETURNは独立していますが、LINK A>B MODEではRETURN Aに接続された信号がRETURN Bにシリーズ接続されます。これによりそれぞれの入力に対して異なるエフェクトをかけたり、2つのエフェクトを直列で使用することも可能になります。

次回は実際の用途に関してもう少し探っていきます。
Torpedo Reload II
村田