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【LINE6 Helix Studium】ナッシュビルサウンドが手に入る?

【LINE6 Helix Studium】ナッシュビルサウンドが手に入る?

渋谷店でも取り扱いを開始したLINE6 Helix Studiume XL Floorですが、日々そのポテンシャルに驚いております。

機能面でいえば本当にもう「何でもできるよ」という感じです。
今後、こちらのブログでも出来る事をを細かくまとめていきたいと思いますが、まずはその音にフォーカスしたいと思います。

圧倒的なクリーン/クランチサウンドの完成度

今まで多くのデジタルプロセッサやアンプシミュレーターをご紹介/試してきましたが、やはり不満(というかリアルアンプとの差異)を感じる部分がクリーンサウンド、クランチサウンドでした。とは言っても、特にビックヒット曲やLAスタジオミュージシャンの音源で聴ける「超クリーンサウンド」は実際にはアンプなどを鳴らさずに「コンソールに直接インプットして録音されたもの」も多く、むしろデジタルプロセッサの場合、都合がよいものでした。
もちろん「キモはAPIのプリアンプを通した音さ!」などと言われるとアウトボードにもこだわりたくなるものですが、基本的にはペダルのコンプとコーラス/ディチューン、そしてステレオリヴァーブ、そしてもちろん気に入ったギターがあればクリスタル・クリーンは作れます。同じ様にクランチに関してもマーシャル系クランチなどは昨今のプロセッサではお手のもので、安価なマルチエフェクトのラインサウンドでも、かなり質の良いクランチがつくれるともいます。問題はクリーンともクランチとも言えない音の再現度です。

デジタルで「ナッシュビル系サウンド」は辛かった…

やや極端な物言いですが、アメリカンロックやUSポップスで聴けるギターの根幹にあるのは、ナッシュビル系のサウンドだと言えるでしょう。

まず「ナッシュビルギターサウンド」って何を指しているのよ?というお話しですが、これは特定のジャンルや奏法を指す言葉というよりも、曲全体の中でギターがどう振る舞うべきか、というアメリカ的な音作りの考え方とも言えます。

音色はクリーンから軽いブレイクアップを軸に、ピッキングした瞬間にスッと立ち上がるレスポンスと、出過ぎないサスティン、整理された倍音と中域にまとまった帯域感が特徴で、歌や他の楽器を邪魔せず、それでいてミックスの中から自然と浮かび上がってくるようなアレです。

この感覚は、始祖とも言えるJames BurtonやAlbert lee、そしてSteve Cropperといった名手の密度が高く「歌う」リズムギターサウンドやBrent Masonの歪ませすぎないのに存在感のあるブレイクアップサウンドなどに分かりやすく表れています。もちろんナッシュビルというよりNYですがGEスミスのギターからも感じられますし、天才ミュージシャンVince Gill の流れる様な演奏には艶やかで奥行きのあるクリーン〜クランチが必須で、まさにナッシュビル的センスの結晶とも言えると思います。

この名手たちの手から生み出される音はもちろんなのですが、多くのギタリストがフェンダーやBoogieを使い、クリーンサウンド〜ブレイクアップする寸前のサウンドを絶妙に「乗りこなし」てきました。ピッキングに対する反応の速さや、歪みきらないアンプの揺らぎ、ボリューム操作で倍音や質感がなだらかに変わっていく感じ… さらには録音エンジニアが音が立体的に定位するところまで含めてその音は完成しています。

イギリスで言えばAndy Fairweather Lowのスタイルも近いものがありますし

https://youtu.be/DZ0MRsDZ12Y?si=HdBVaqrLeBicpwog

この一見すると「何でもない音」が非常に難しい(ダンブルアンプの質感がデジタルで再現できない理由の一つでもあります)これまでの多くのデジタルプロセッサでは、音色自体は近づいても、どこか反応が鈍く(レーテンシー云々ではなく有機的なレスポンスではない)音が平面的(直線的)で、弾いた瞬間の手応え(クリーンなのにやたらと力んで弾いてしまう)やミックスに入ったときの存在感が足りない(音が薄いのでコンプ増し増し…)と感じる場面が少なくありませんでした。

だからこそ、このナッシュビル的なギターサウンドをデジタルで再現できればなーという(特にプロミュージシャンの)皆様も多かったと思います

Helix StudiumにNash seshというプリセットがありましたよ…

そんな中で、正直ちょっと驚いたのが Line 6 Helix Stadium に用意されている 「Nash sesh」プリセットでした。
名前からしてNashville Sessionですよね。ベタと言えばベタなんですが、実際に弾いてみると、これまでデジタルではなかなか掴めなかった“あの感じ”が、かなり正確に再現されていたんです。

音色そのものが派手なわけではありません。でも、ピッキングした瞬間の立ち上がりが自然で、クリーンなのに音が前に出る。小型真空管アンプのブレイクアップ手前のニュアンスも素晴らしく、直線的にならない。強く弾けばちゃんと反応し、力を抜けばスッと収まる。何より、音が平面ではなく、ちゃんと奥行きを持って定位するので、無理にコンプを足す必要がないんですよね。

「これは“音を作った”というより、“音が成立している”プリセットだな」と感じました。まさにこれまで話してきたナッシュビル的なギターサウンド——曲の中でどう振る舞うか、弾き手のタッチにどう応えるか——そこを正面から捉えにいっている印象です。

デジタルでナッシュビル系サウンドが辛かった理由は、音色以前にレスポンスと立体感が足りなかったことだと思います。その意味で、この「Nashville」プリセットは、「ようやくここまで来たか」と素直に思える完成度でした。
少なくとも、“クリーン〜ブレイクアップをちゃんと乗りこなしたい人”にとっては、一度弾いてみる価値のあるプリセットだと思います。

その辺りの音の非常に良いサンプルがこちら(動画で使ったプリセットは不明です)

と言う訳でこれまでデジタルモデリングのサウンドに納得できなかった皆様も多いと(本当に多いと!)思いますが、是非店頭でLINE6 Helix Stadiumをお試しください。いつでも音出し可能です。

今後も気になったサウンドや使用法をご紹介していきます。

村田