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パッシヴ5弦ベースの世界(クルーズの新作 JB 5弦 P.Uが凄い)

パッシヴ5弦ベースの世界(クルーズの新作 JB 5弦 P.Uが凄い)

今日日の5弦ベースユーザーの多くが「パッシヴの5弦が欲しい」という要望を持たれていると思います。これは昨今の音楽事情をみれば当然の事ですが、特にR&Bやソウル系においてはLOW-Bの音域が必須になっています。K-POPやグラミーを受賞する様な楽曲を見ても5弦ベースの存在はトレンドではなく定番/常識として認識されていることがよく解ると思います。

このGET LUCKY↓のヒットなどはその勢いに拍車をかけたと言えるのではないでしょうか?もちろん80年代から5弦ベースは存在していましたし、楽曲で使用されてきました。当時5弦を使用して録音されていなくても今演奏するなら?という事でStevie WonderのSuperstition や Chaka KhanのAin’t Nobodyなどは5弦ベースアレンジが当たり前という感じになっていると思います。

これらのサウンドを新しい手法でカットアップし「世界に音楽を甦らせた」とまで言わしめたDAFT PUNKのGET LUCKY以降、さらにメジャー/ヒットトラックで使われるベースパターンで確実に5弦のサウンドが目立って来る様になりました

ご本人登場↓最高ですね

ビヨンセも、もちろん引用

みんな引用

話がそれましたが、多くの5弦ベースがアクティヴピックアップまたはプリアンプを搭載しています。これはピックアップ自体の音質はフラットにしておいてプリアンプで音を作り込む事を想定していたり、あるいはピックアップ自体をセンシティヴ(パワフルにしない)事で音を濁らせずに拾い上げる事を目的とし、足りない出力をプリアンプで増強する、というイメージになっていると思います。

その始祖はAlembicにありますが、一般的にはバルトリーニのローパワーピックアップ+プリアンプという構図やEMGのプリアンプ内蔵ピックアップ、そしてMusicmanのStingrayなどのベースがそれらを定番として築き上げたとも言えると思います。Fender Bass XIを除けば世界で最初に5弦ベースを発表したのもAlembicであったと思いますが、当然プリアンプ搭載が標準仕様でした。パッシヴの5弦モデルとしてはYAMAHA BB5000やFender Bass V(こちらはHI C仕様)同じくFender Roscoe Beck V がありましたが、やはりPBピックアップが一般的でした。

昨今ではLakelandやFender American Pro-IIなどにもパッシヴのJBモデルが存在していますが、やはり多くのミュージシャンはプリアンプ搭載モデルを選択します。その理由はやはりLOW-Bのサウンドと演奏性にあると言えます。一般的なJBピックアップのデザインを踏襲して5弦バージョンを作ることはさほど難しいことではありません。しかしながらヴィンテージベースに「存在していなかった」5弦のJBピックアップには、天才レオフェンダーのアイディアが含まれていません。MusicmanでもG&Lでも素晴らしいピックアップを生み出したレオフェンダーですが、残念ながらベース用の5弦ピックアップはデザインしていませんでした。単純に弦が1本増えただけなのに、4弦ピックアップのデザインをそのまま流用しただけでは、LOW-Bの響きを拾い上げることはとても難しいと言えます。

そこで各社ピックアップを開発しますが、パッシヴで4弦の延長にある5弦のサウンドとパワー/明瞭さを得るのは難しいと言えます。Foderaのピックアップでお馴染みのAEROではパッシブ5弦JBピックアップも製作していますが、やはり人気はSOAPBARタイプやダブルボビンモデルだと言えるでしょう。それでもAEROの5弦(もっと多弦も!)ピックアップはパッシヴでもクリアでパワフルなサウンドを生み出します。ただ、やはりヴィンテージJBのイメージでは無いと思います。

で、ここからが本題です。

クルーズでは長年定番として5弦JBピックアップを搭載してきました。

このピックアップは多くのブランドに様にネック側とブリッジ側で共通のボビンを使用せず、ブリッジ側のポールピース弦間ピッチを変更している点が一つのポイントです。さらに60年代初期のJBが持つパワフルなサウンドをベース(基本)に、5弦モデルらしいアレンジを加える事でパッシヴでも力強い、それでいてヴィンテージの雰囲気も兼ね備えています。国内外のミュージシャンが「クルーズの5弦JBはヴィンテージJBと同じ感覚で演奏できる」と評価した理由の一つがそこにあります。

そんなクルーズの新しいベースピックアップ“5WSJ“は
パッシヴでの使用をさらに意識したワイドタイプとなります。

SOAPBARにも近いイメージのワイド(ビッグ)ボビンを採用。シングルコイルでありながらポールピースをスラントさせる事で磁界/磁束密度を広げ、さらに幅広に巻かれたコイルは、より広い帯域を拾い上げる為に作用しています。

これによりLOW-Bのサウンドを明瞭に拾い上げ、出力します。さらに注目のポイントは多くのパッシヴ5弦ベースで感じる「他の弦からLOW-Bに移行した際の違和感」が限りなく少ない事です。本当に自然にLOW-Bが鳴る、という感じがあります。勿論ピックアップ自体の出力は通常のCrews JB5よりも高めですが、ハイパワーというよりも「力強いシングルピックアップ」というイメージです。

パッシヴならではのミッドレンジやタッチへの反応を得ながら、アクティヴの様に安定したパワーを持つ非常に魅力的なピックアップとなっています。

ロングセラーのJB-Modern 5に新たに加わったパッシヴモデルを是非お試しください。