Strymon EC-1 and Old Echoplex
3月9日に発売となったStrymon EC-1のサンプル動画を制作しました。サンプル動画を制作するにあたり、いま一度オリジナルのエコープレックスサウンドを頭に入れておこうと思い、久しぶりに電源を入れました。さて…
ところが動作はするものの、ワウフラッターがすごい。全然エコーサウンドが落ち着かない… モジュレーションエコーサウンドのみ、という状態。さてさて… という事で手入れを始めますが、結局半日くらいかかってしまいました。
このEP-2自体はピートさんというエコープレックスの達人に手入れしていただいた個体ですが、やはり常に使用していないと動作が安定しないものです。各箇所をあらためて微調整し、理想的なエコーサウンドになりました。さてさて、その状態でEP-2とEC-1を比べてみた動画がこちらです。
詳しい内容は動画を確認いただければお分かり頂けると思いますが、Echoplexをはじめ、VOX Long/Short tom、 WEMのCopycat、そしてローランド Space Echoなど、評価の高いエコーマシンの殆どが1960年代から70年代後半にかけて製造されたものです。つまり現時点で50年ほど時間が経過しています。
一般的なテープデッキでも10-20年程度で不具合が生じる事を考えると、オールドテープマシンには手入れが必須であり、かつ劣化パーツの交換の心配も常にあります。もちろん、肝心のテープは永遠ではありません。さらに質の高い効果用テープの入手は難しくなっています。フルトーンの様にテープエコーを現代的な手法で見事に蘇らせたブランドもありましたが、高価で気軽に持ち歩ける機材ではないと思います。

昨今はテープエコーサウンドを再現するデジタル機材も多く存在し、基本的なサウンドのレベルは凄まじく進化しています。しかしながらこのEC-1の様に「マジック」を感じさせてくれるデジタル機材は多くないと思います。もちろん、デジタルは設定次第で「マジック」を生み出すことも可能ですが、その魔法の様な音をよほど理解していないと音色は作り込めないでしょう。EC-1はアナログ機材ならではのマジックを見事にアナログとデジタルで再現し、シンプルなコントロールに収めていると言えます。

余談ですが、動画ではアンプとしてStrymon Iridiumを使用しました。Punch AMP / CAB a のサウンド(マーシャルイメージ)です。この音もかなり良いと思います。デジタルは新機種(新しいもの)の方が素晴らしいと思われがちですね。発売から時間は経過していますが、このイリディウムのサウンドは素晴らしく、もっと評価されて良いと思います。

村田