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オーツアンドモラレス VB-2に関して【FET AMPを知る】

オーツアンドモラレス VB-2に関して【FET AMPを知る】

先日Fractal Audio System VP-4の動画に絡めてご紹介したオーツアンドモラセス(OATS AND MOLAESSES)のVB-2
売り切れておりましたが、近日再入荷いたします。

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このペダルはデトロイトにてチャド・モーガン=ステレンバーグ(La Dispute/ラ・ディスピュートやソロ活動を行うミュージシャン)によって手作りされています。

チャドが在籍するLa Disputeが日本でライブを行った際に共演したMouse On The Keysに、ゲストミュージシャンとして参加していた(チャドの友人でもある)飛田雅弘氏(Solo/ex-ENVY)にVB-2を手渡し、飛田さんが私(村田)にそのペダルを紹介してくれた、というなかなかEMOい展開で知り合ったペダルです。

このペダルの正体はシンプルなFETアンプ/ブースターなのですが、全く同じプリアンプが2段組み込まれている事に注目してください。

FET PREAMPとは

FETプリアンプは80年代から多くのスタジオ/プロの現場では重宝されており、当時はアコースティックギターや小出力のピエゾコンタクトマイクなどの信号を増幅させるために使用されてきました。ギタリスト界隈ではU2のTHE EDGEがBOSS FA-1をシステムに組み込んでおり、クリーンなサウンドに少しハリを持たせたり、サウンドの補正をかねて使用していた事でも有名です。(Edgeがフラクタルを使用する際に製作されたのか?VP4にもFA-1のプリセットが存在します)

FETプリアンプはある程度まではクリーンサウンドですが、ボリュームを上げていくと歪んできます。そのサウンドが真空管アンプの動作にも近いことから昨今ではFETを歪みの心臓部に置いたオーバードライブなども多く存在します。FETプリアンプの場合はボリュームを上げて歪ませると、音量もとんでもなく大きくなってしまうのでドライブペダルとして使用するミュージシャンは少なかったのですが、一部ギタリストは主にレコーディングでDALLAS RANGEMASTERの様にVOXや、すでに飽和した状態のフェンダーアンプと組みわせて素晴らしいブースターとして使用していました。

OAM VB-2はこのサウンドの利点を得ながら音量を自在コントロールし、さらに多彩なサウンドバリエーションを引き出す目的でFETプリアンプを2台直列に接続。前段でボリュームを上げて歪ませても、後段のボリュームを控えめにセットする事で音量を任意の設定として使用できます。また、バイアスを設ける事でFETならではのスピード感、レンジ感だけでなくSAGやザラっとした質感を加える事もできます。その副産物として単体のFETプリアンプだけでは得られないコンプレッションの激しいFUZZサウンドや飽和状態のアンプを超えるゲーティーでダーティーなサウンドも得られます。

お手持ちのシステムの初段や任意の位置(歪みセクションの最後)などに配置して音色を際立たせたり、ライン録音時にはギター直後に接続し純粋なプリアンプとして使用したり…使い方は様々です。

FETプリアンプはクリーンサウンドだけでなく、ハイゲインサウンドにも効果を発揮します。
例えば同じくFETプリアンプの名機であるt.c electricのIntegrated PreampをMeshuggahのFredrik Thordendalが愛用した、という話は有名でしょう。

ちなみに初期のINTEGRATED PREAMPは9Vだと歪んでしまい
18Vで使用しないとクリーンサウンドが得られなかった事を知る人は少ないでしょう…

俗にいうChaosphere Soundを求めるフォロアーがその音色の要としてt.cのプリアンプを一時血眼になって探していたという話も聞きます。

いずれのFETプリアンプも単体で聴くと「大して面白くないサウンド」と思われがちですが、この事からもジャンル問わずサウンドに強力な要素を加えることができる秘密のアイテムでもあります。

OAM VB-2はEQ機能を持たせていませんが、それ故に幅広い使用方法が可能です。また、初期のt.c electronic INTEGRATED PREAMPの様に、9-18Vで使用することが可能です。

是非店頭でお試しください。