【村田ブログ】Blackstarの新しいコンボがすごい(その1)
ブラックスターのHT CLUB 40 MKⅢというアンプがすごい
そこで『一体なにがすごいのか』と言う事を数回にわたってピックアップしていきたいと思います
機能説明だけでも2日くらいかかりそうなので、まずは知っておいてほしい機能と用語、情報をご紹介していきましょう。今回は無償提供されるアプリ「CabRig」をピックアップしましょう。
“CabRig”はPC/MACとアンプを接続し、PC/MAC上でコントロール可能な機能です。アンプ本体で行う機能/操作ではないのでご注意ください
BLACKSTAR SOFTWARE
CabRig
CabRigとはブラックスターの先進的なDSPスピーカー・シミュレーターであり、マイキングされた素晴らしいディテールのギター・キャビネット・サウンドをUSBアウトまたはアナログアウトから出力できます。レイテンシー・ゼロで(ブラックスター曰く)スナップショットされたIRよりも優れた柔軟性を持つCabRigは、キャビネットやルームをシミュレート可能です
現在のマイクシミュレーター/キャビネットシミュレーターの多くが「IR」データを元にしています。皆さんもよくIRという言葉を耳にしたり、もしくは口にしているかもしれませんね。ではIRとは何なのでしょう?
IR-Impuls Responce = インパルス応答と呼ばれるもので、簡単に言うと短いパルス波でスピーカーやアンプの特性をキャプチャ(=捕らえる)してデジタル化する=スピーカー キャビネットの線形特性のスナップショットということになります。
実際にはもっと難しい話なのですが、我々やミュージシャンの皆様が理解しておくのはこの程度の解釈でよろしいかと思います。詳しく知りたい方は専門サイトを周ってください
兎にも角にも、短いパルス信号で機材やホールの響きなどをデジタル化したものがIRと呼ばれるものです。
これらIRはアプリやプラグインのスピーカーシミュレーターやリヴァーブなどで一般的で、特に現代のギターサウンドにおいては非常に重要なものとなっています。どの程度重要かと言えば、これまでは実際にスピーカーを鳴らさないライン録音(と、その音)に否定的だった多くのミュージシャンを納得させるほどにライン録音の音質が向上しただけでなく、ラインサウンドは録音だけでなくライブでも重要な存在となった程です。アナログのキャビネットシミュレーター時代からIRの時代に移り変わる過程で、ライブステージもラインサウンドのみで成立するほど音色的にも機能的にも進化しており、もはや多くのプレイヤーがアンプを持たずにアプリや小さなアンプシミュレーターだけで素晴らしい演奏を聴かせています。
しかしながらIRのデメリットも少なからず存在します
レイテンシーや位相の問題がそれで、プロの現場ではすでにそういった問題を解消するべくノウハウも広がっていますが、IRを普段取り扱っている多くの皆さんはその事に気づいていないかも知れません。もちろんギター単体で使用する場合は位相もレイテンシーも、大した問題ではなかったりしますが、バンドでの使用や同時録音などのアンサンブルでは問題になったりします
前記したDSPスピーカーシミュレーターであるCabRig はIRではないのでそう行ったデメリットがありません。実際Blackstar CabRigのサウンドはちょっとクラシックなアンプシミュレーターの質感があります。もちろん機能的には最新のアンプシミュレーターなのでマイキングの切替、EQだけでなくキャビネットの種類も豊富に用意され、様々な音楽に向けたサウンドメイクが可能です。追ってサンプルサウンドもご紹介したいと思います。
とにかく40Wの真空管コンボアンプに、この機能が搭載されている、というのが凄いと思います。アンプの音の説明の前にこの事を知っておいて頂きたいと思います
次回に続きます・村田