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【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方【楽器屋目線で聴く”BEAT IT”】

【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方【楽器屋目線で聴く”BEAT IT”】

村田です。最近個人的に流行っている曲があります。マイケルジャクソンの【ビートイット】

そうです。あの名曲です。MVをご存知の皆さんも多いでしょう。ギャングの抗争。この一見、一番ワルそうな白いアワードジャケット(ボマージャケット?)の人物は振付師だそうで…今調べると色々面白い情報が沢山、出てきますね。それくらい、伝説的な曲だということでしょう。

このところ、ひょんな事からこの曲を私の友人(女子・6歳!)が気に入り、毎日10回くらい聴いているそうです。しかも音源ではなく動画で。このPVの内容なんて理解できない子供にも、この曲とMVの素晴らしさは伝わるのですね。そういえばマイケル本人も後年こんな事を…

I wanted to write a song, the type of song that I would buy if I were to buy a rock song… That is how I approached it and I wanted the children to really enjoy it—the school children as well as the college students

wikipedia

そして、楽器屋的にもこの曲は非常に重要です

世界に名をはせる(特に楽器業界で)有名ギタリストがこの曲に関わっています。ご存知、ルークとエディー、そしてポールジャクソンJr.です。

私も、もちろんこの曲にエディーが関わっていることは知っていましたが、キッズの頃は全てエディーが弾いていると思っていました。少し大人になって、リフがエディーっぽく無いなぁと思っていました。また、20代の前半にバンドを組んでいたメンバー(ベーシスト)がこの曲を好きで、その時に「totoのルカサーは別にイケてないけど「今夜はビートイット」のルカサーは良いよな」と言っていて「この人、何言ってんだろう?ルカサーじゃ無くてエディーだし。しかも日本版の曲名だし…」と思っていたものです。

この曲は80sらしいリズムサウンド(ドラム)にややギタリスト的なベース(ルークが演奏していると聞いて…なるほど!)が曲の土台を作ります。

当時の超高級シンセ”synclavier”のサウンド(プレイヤーはtotoのマイク・ポーカロ)
そしてこちらも名機 Roland TR-808の「あの音」から始まるこの曲。

レコーディングドラマーはtotoのジェフ・ポーカロ(totoって本当にすごいミュージシャンばかり在籍してますね)ですが、こちらはライブなどでマイケルをサポートしていたJonathan Moffett氏。なんというか色々と…とにかく、このかっこ良さ!言葉も出ません

なんと、リズムギターとベースのアイソレートトラックがyoutubeにありました。なんでもありますね…

https://www.youtube.com/watch?v=ii9_lvbuzwY

ギターサウンドは「時代の音」で、やや後ノリ(ジャスト?)で演奏されるディストーションサウンドのメインリフと、比較して前乗り(16)で演奏される、ややダーティーなクランチサウンドのカッティングが曲の印象を作ります。全体を支配する、クインシージョーンズ・プロデュースのグルーヴとサウンドプロデュースが素晴らしい事がよくわかります。途中で聴ける鬼の様なキレと太さを持ったクリーンなリズムギターはポールジャクソンJr.の演奏。こちらも… なんという格好良さ。そんなポールジャクソンJr.氏に敬意を払い、氏のグルーヴにノった形で演奏しているかのようなルークのリズムギターも流石。

1日1回観るべき動画。ポールジャクソン氏のリズムギター講座

一瞬、BEAT IT を振り返るルーク

実際の録音でのルークのサウンドは、緩やかなフランジャー/コーラス的なモジュレーションが感じられます。まさにルークのシグネイチャーサウンド、ですよね。

ルークといえば、ミュージックマン。そういえばミュージックマン、取り扱いを始めています。いずれLUKE Sig,も入荷するでしょう…

https://hcsguitar.com/item/guitar/music-man-guitar/mm-cutlass-rs-hss-ghostwood/

そしてエディーのソロパート。
サウンドは当初もっと過激に歪んだディストーションだったようですが、クインシーが「タフすぎる」と言う事で、歪みを減らしてややドライなサウンドに仕上げた、と言うことも興味深いエピソードです。

また、本ソロテイクではアランホールズワーズに借りたHartley-Thompsonアンプを使用したと言われています。果たして本当に使用したのか?と言う事はいつも話題に上がるのですが…

このアンプでしょうか?

で、youtubeに別のアイソレートトラックがありました。本当に…探せばなんでも出てきますね(笑
エディーのソロはこっちの音の方がわかりやすいかも。

確かに、ブラウンサウンドというよりも、もっとスピード感とタイトなサウンドに感じます。

上記のHartley-Thompsonアンプと言われれば確かに…そうかも。
かなりダーティーですが

ちなみに、2015年のエディー。この演奏を聴く限り、エディーの音は前出の「BEAT IT時代」から変わっていません。いや、その前から。つまり、エディーの音はエディーの手から生まれていると言うことでしょう。プレーン弦を弾いた時の低音の凄さ、というかゴツさ。強いピッキングでは決して出せないボトムです。だからアンプは…なんでも良さそうですね笑

で、実際にライブにも参加。エディー!を連呼するマイケルがかわいい。これを観るだけで2人の関係性が理解できます。

もう最高ですね

というわけで、今回はUSAGI NO MIMIでマイケルジャクソンの名曲、Beat itをチェックしてみました。改めてて聴いてみて、ものすごい念密に作られた曲だという事がよく理解できました。USAGI NO MIMI、やっぱりすごいです。

ちなみに、Fall out Boyというバンドがこの曲をカバーしていますが…

このギターソロを客演で弾いているのはジョンメイヤーだそうです。
この曲とそのストーリーに敬意を表しているという事でしよう。

なるほどー。確かにジョンメイヤー節炸裂。
そして、このギターを持っちゃう感じ。なんとなくリンクできました。

以上です!

MWrata