【連載コラム】USAGI NO MIMIでベースの音を「見る」(40代男性の場合)
USAGI NO MIMIで音楽を聴くシリーズ。
今回はレアなWALベースが入荷したのでWAL BASSを軸に、考察してみました。
ところでWALを弾くベーシストといえば、誰だろう?
こちらの素晴らしいファンサイト(http://walbasshistory.blogspot.com/2013/03/notable-wal-users.html)にございます。サー・ポールマッカートニーも使っていたんですね?存じ上げませんでした。そうそうたるメンツがご愛用(または「していた」)ベースです。
まずはアダムアンドジアンツ… 英語にしましょう。Adam and the AntsのGary Tibbs
なぜAdam and the Antsなのか?とよく聴かれます。好きなのか?と。
それはアレですね…マルコムマクラーレンですね…Sex Pistolsつながりです。(私Sex Pistols未だにお店のBGMで流す程好きです…マルコムは成功した後のバンドとははほとんど関係なさそうですが)
とは言えwikiにもありますよ。
アメリカのマイケル・ジャクソンやプリンス、日本の沢田研二やヴィジュアル系バンド、さらにポケットビスケッツにも多大な影響を与えた。
wiki
ほら…プリンスですよ。先日のスタッフニシキドのコラムと繋がって…来ないか…
ジュリーも最高ですね。WALは関係ないですが。
で、この↓ゲイリーさんのベースサウンドは非常に「WALらしい」サウンドだと思います。
WALを所有の皆さまやご存知の方は「ウンウン そうだね」と頷いていらっしゃることでしょう。ウンウン。
続いてこちら。そうです。Jasonさん。
私個人的にはクリフバートン亡き後にメタリカに加入したばかりのジェイソン・ニューステッドのWALの音、その印象は強く…初めてジェイソンバージョンのメタリカを観た時・聴いた時
「全然ベース聞こえないじゃん…」
と思ったものでした。
その頃にジェイソンが愛用していたのがWALですね。また、私はすごく好きなアルバムなのですが、ベーシスト界隈では「ベースが全く聞こえない」と悪名高き”…And Justice For All”のRECもWALっぽいですよね。
このリンクの話が面白いのですが
当時メタリカの一員としてのキャリアをスタートさせて直ぐ(初レコーディング)のジェイソンが”And…”(Adam And…じゃないですよ)のレコーディング時にはスタッフ(ベーステック)と二人でスタジオで録音/作業することが多く、サウンドメイクに関してバンド的協議がほとんどされないまま進んでしまった。そしてジェイムスが後からギタートラックを乗せたら、ジェイソンの音と見事に音の帯域がカブってしまい、多分、サウンドがボヤけてしまったんでしょうね。当然、ギターリフ命のスラッシュメタルの掟に従い、ジェイソンのベースは差し替えられることもないまま、単純に音量を下げさせられたと言う… 酷い話ですねよね。でもWALを使っていたとすれば、何となく分かります。ジェイムズのあの音はベーシスト泣かせだと思いますし、WALの「ややギターっぽいサウンド」はアンサンブルで埋もれがちでもあるといえます。
今回、USAGI NO MIMIで改めてメタルジャスティスを聴きました。すごい!さらにベースが聴こえない。これはもう、音源の特徴ですね。
で、この問題をきちんと解決しているのがTOOLのジャスティンさん。
TOOLのギターサウンドは深い歪ですが、ややサックりとした質感。ミッドレンジも十分に感じられ、ややクラシックなロックサウンドの延長線上にある感じ。ヘヴィーなサウンドなのに分離が良いですよね。
ここにJustin Chancellorの激ヘヴィーなベースが絡むと…
個人的にはこの音が「WAL の音」!って感じなのです。
TOOL – Parabola
素晴らしい録音。メンバー各自のスキルとセンスが伺えます。
USAGI NO MIMIで聞いてみました。最近のオーディオセットアップだと本当にウーファー的な低音にマスクされていたベースの芯の音が聞けます。定位感もとても良いですね。
もう一度メタリカ。Metallica – Harvester Of Sorrow
↑この音にWALのBASSがちゃんとミックスされたら相当ヘヴィーなアルバムに仕上がっていたハズ。
そしてMETALLICAは次作、俗称”BLACK ALBUM”でサウンドとミックスバランスにも磨きをかけて… その後のヘヴィーロックの基本となるサウンドを作り上げました。
(しかしながらこの時代ジェイソンはWALではなくAlembicなどを愛用。WALっぽいチリチリした高域の成分がないので、少し寂しく感じます。)
USAGI NO MIMIでブラックアルバムを聞いてみます。当時感じていなかったリヴァーブ感の妙技を強く感じました。なるほど。リヴァーブは時代を写す鏡ですね!ベースもやや腰高な音色とヘヴィーな帯域に別れて調整された印象です。でもWALっぽくは無いですね。
話がヨレましたが、WALはとにかくヘヴィーなサウンドのベースなんです。でも落ち着いたウッドベースの様なサウンドも引き出せる(むしろそっちがメインか…)特異なベースだと言えます。
今回改めてUSAGI NO MIMIで楽曲を聴いてみて、今まで「見えていなかった」ベースサウンド、というかレコーディング/ミックスの面白さに、また気づきました。特にTOOLは凄いですね。カルト的な人気を持つ理由やジャスティンに憧れるベーシストが多い理由も理解できました。この音は、カッコいいです。
後もちろん、WALといえば忘れてはいけない…
Japan live — Methods of Dance with Mick Karn
そしてRHCP
そうですこの音。当時Music Manでこの音が出なくて、悩んでるベーシストが多かったー(時代)
もろにWALの音ですよね。
と言うワケで今回はUSAGI NO MIMIでWALのベースサウンドを探ってみました。
ただ音楽を聴くだけでなく、愛聴盤を再認識することで、再度音楽と音楽を興味深く考察することができると思います。是非、皆様もお試しください。すごく、楽しいです。
MWrata