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【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方(40代男性の場合)

【連載コラム】USAGI NO MIMIの楽しみ方(40代男性の場合)

おうち時間を楽しむ #StayHome 本日はUsagi No Mimi(以下うさ耳)をご紹介します。

商品ページはこちらから

うさ耳はオーディオプリ/メインアンプです。小型でありながら次世代の真空管として各方面から注目されるNuTubeを使用しているのがポイントです。

いや、もうひとつポイントがありましたね。このオーディオを作っているのがオーディオメーカーではなく楽器メーカーである、ということです。

オーディオの世界で「真空管の音」というのはある種の「基準」として取り扱われていると思います。「真空管ならではの温かい音」と言う表現がよく使われますが、個人的にはその魅力は「艶と奥行き」そして「独特のサチュレーション」だと思います。ピアノや弦もの(ピアノも弦ものですが)のアタック音。ピアノで言えばハンマーが弦を弾いた音とそれに繋がる余韻。ヴァイオリンで言えば弓で弦を弾く(擦る)音などが、真空管アンプで聞いた時に特に立体的に聴こえます。

もちろん「真空管アンプならではの柔らかな質感」も感じますが、この場合は真空管を使ったパワー・アンプなどを通した際に感じられるもので、プリンプでは前記した艶感やサチュレーション感が特に感じられると思います。ゆえに、真空管プリアンプ+パワーアンプの組み合わせ以外にも、真空管プリアンプ+ソリッドステイトパワーアンプのコンビネーションや、その逆のセットアップで音楽を楽しむ愛好家の方も多くいらっしゃると思います。ギタリストでも同じことが言えますよね。オールドスクールな真空管アンプにギター直結を好む人、クリーンな真空管アンプにドライブペダルを組みわせる人、チューブプリアンプにソリッドステイト・パワーアンプを組みわせる人、デジタルプリアンプに真空管パワーアンプを組みわせる人。まさにオーディオの世界と同じく、趣味趣向によって様々な方向性が存在する世界だと思います。

と言う訳で真空管オーディオにも興味があるなーというミュージシャンや音楽愛好家の皆さんは少なくないと思います。とは言え、なかなか真空管オーディオを家に置くことは難しい… サイズ的にも価格的にも、ちょっと手を出すにはあまりにも深い沼が待っています。そこで、USAGI NO MIMIのお話です。

USAGI NO MIMI

USAGI NO MIMIは前記した通り「オーディオメーカーではなく、楽器メーカーがデザインした真空管オーディオ」であります。そして、このプリ・メインアンプの特徴はNuTubeを搭載しているところにあります。

NuTubeの製品紹介ページは非常に勉強になるので真空管アンプが好きだ!という皆様はぜひ、ご一読を

https://korgnutube.com/jp/tube/

なお「俺はミュージシャンだから真空管の話なんか知らないぜ!」という皆様。もちろん、その通り。ミュージシャンは音楽のことを考えていればいいんですよね!音のことは音屋さんに任せましょう。でも、昨今のデジタルアンプに必ずと言っていいほど搭載されるパラメーターである「バイアス」などの項目。この調整が音にどう作用するのか?など、きっと音創りに役立つ知識がここにあります。一度くらいは目を通しても、ソンは無いと思います!

NuTubeとは!?

NuTubeは非常に正しく動く真空管、と言うイメージです。もう「これでもか!」という位に、まさに真空管の音です。薄くても、小さくても、熱くならなくても、間違いなく真空管。そう、良くも悪くも真空管の性能、特性を体験するには最適だと思います。嘘だと思ったら是非、VOX MV50をスタジオに持って行って4×12のキャビネットで鳴らしてみてください。驚くほど真空管アンプの音で、その事に驚きます(??)

そんな真空管を搭載したUSAGI NO MIMIは、商品ページに書かれている様に「楽器の音を知る」事を目的としています。こちらのコラムもチェックしてみてください。

前記した様に、真空管オーディオでは特に弦楽器や打楽器のアタック音の質感がよく「見え」ます。NuTubeを使用し、その特性を活かしさらに音を見えやすく、そして音の分離感を良くしたのがUSAGI NO MIMIです。

立体的な音はより立体的に。平面的な音は平面的に聴こえます。

ミュージシャンやエンジニアが目指した音が非常にわかりやすく聴こえます。小音量でも音楽が「力強く」聴こえます。

と言うわけで、私も当時聴いて、びっくりしたデイブマシューズバンドの音源を久しぶりにUSAGI NO MIMIで聴いてみました。リリースは2001年ですって!

Dave Matthews Band – EVERYDAY

当時も「すごい分離感が良い音源だ」と思ったのですが、USAGI NO MIMIで聞くと、より「凄み」を感じます。歌のバランスが大きいのに演奏がすごくクリア。当時、知人のバンドマン達に聞かせると「こう言う音で/バランスで、日本でレコーディングできないの?」とよく聞かれました。なかなか…ねぇ?とはいえ、海外でRECすればこの音になるのか?と言われれば…そう言う問題ではないすね!

今回驚いたのが音源による音の違い。iTunesにはこの音源がなかったのでSpotifyで聞いてみました。なんか雰囲気が違うな…と思い、CDを再びゲットして同じくPCに取り込んで聴いてみました。おーこの感じ、となります。どちらが良い、等ではなく、USAGI NO MIMIはこう言った違いも明確に感じさせてくれます。

久しぶりに聞いてみた「もう一枚」がYen Town Bandの名作。MONTAGE

当時チャラさんの音源だと思って聴いて「日本でもこう言う音が取れるんだ!」と驚いたら、レニークラヴィッツのアルバムを撮ったウォーターフロントスタジオで撮ったらしいよ、と聞き「ああ…それですね」となった作品です笑

Swallowtail Butterfly ~あいのうた~

https://www.youtube.com/watch?v=LJjutqPbNvc

で、同じスタジオで録音したレニークラヴィッツの名作

同じスタジオでのセッション Lenny Kravitz Jam Session at Waterfront

https://www.youtube.com/watch?v=_s_jkOfJe-s7

レニクラ プロデュースのヴァネッサさん Vanessa Paradis – Natural High

見事にスタジオの色、そしてクラヴィッツ色が出ていますね。

まずはドラムとベースの音。リヴァーブなし。デジタル臭皆無。そして思いっきりL/Rに振ったギターなど、スタジオの自然なライブ感と70年代感溢れるピークのある音色。ちなみにYEN TOWN BANDがRECした際、このスタジオにあったドラムはヴィンテージ・ラディックのセットで、ドラムのヘッドも当時(詳しい年代不明ですが)のものが張られていたとのこと。ベースの弦も古いままだったと言うことで、サウンドへの異常なこだわりを感じます。もちろん機材はレンタル(もしくはクラヴィッツ氏の持ち物を使わせてもらったと言う噂も)なのでスタジオのものではないと思いますが、このスタジオの空気感と合い重なって、90年代中盤、レコーディングもデジタルへ移行していく時代に聞こえたこの音は衝撃的でした。

なんだかこの「90年代に70年代にレイドバックしていた音」を聞いていたらビースティーボーイズのこの曲を聴きたくなりました。

Beastie Boys “ROOT DOWN”

この曲、元ネタはJIMMY SMITHの”ROOT DOWN” 1972年の作品です

https://www.youtube.com/watch?v=0OWPkDYgkIs

ギョエー!今聞いてもなんと言う格好良さ。そしてこれをサンプリングしてラップしちゃうビースティーズのセンスに仰け反り。

で、このビースティーズバージョンをサンプリングしたプロディジーのFunky Shit(サンプリングは「ど頭」だけですが笑)

ベクトルがまるで逆?いや、メビウスの輪状態でつながっています。

ビースティーズといえばこちらも名曲。”Jimmy James”(アルバムバージョン)
ジャケでMCAが持っているプードルケースの渋さよ…

この曲、元々はインストでジミヘンドリクス(メインのベースとビートはカーティス・ナイト&ザ・スクァイアーズ)のサンプリングとスクラッチ、リズムだけで作られていたと言う曲です。

Jimmy = Jimi Hendrix

James = James Marshall Hendrix

と言うわけです。

こんな音源があったんですね…ブートじゃないのか?

https://www.youtube.com/watch?v=0D1iLcj2u6M

こちら良音質

素晴らしい。しかしながら当時、EXPERIENCE HENDRIXから音源サンプリングの許可が下りず… 仕方がないので「メンバー自ら似た様な音で演奏し、その音源を使った」という激シヴなストーリー。サンプリングじゃなくカバー?と言う話に仰け反りました。後に正式に音ネタの使用許可が下りたとのこと。

なので、この”JIMMY JAMES”という曲は、上記のアルバムバージョンはサンプリングでなく、メンバーの演奏を「ネタ」としてを使っており、シングルカットにはヘンドリクスのサンプリングを使用したバージョンが収録されているそうです。是非アルバムバージョンと聴き比べてみてください

で! ちなみにイントロのMCは、なんとチープトリックのLIVE AT BUDOKAN(1978年)よりサンプリング!

*youtubeの音源にはMCが入っていませんが、アルバム音源ではこのSurrenderへの繋ぎのMCとして収録されています。

チープトリックもかなりライブの音がヤバいですよね。爆音。ポップなのに超…爆音
ニックニールセンの音もゲキ歪み!ワルい音してますね。

あー楽しくなってきちゃいますね。

ほんの20数年前の音源でもこれだけ面白いんです。60年代、70年代、80年代も聴きだすと止まらなくなります。

iTunesやSpotifyなど、サブスクでこれだけの音楽が聴ける。昔聴いていた「あの音源を」今もう一度聞いてみると、違った楽しみ方ができると思います。歌謡曲も掘り出すと名作たくさん。日本の名手の演奏も素晴らしい。歌謡曲全盛期の作品は音もすごく良いですよね!

と言うわけでもうしばらく続きそうな #StayHome 
真空管オーディオ「USAGI NO MIMI」でミュージシャン目線で音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後にいっつもBEASTIE BOYSの話になると、この動画を出してますけど…

ほんと、このトリビュートは最高だと思います。オマージュのセンス。ヒップホップのフォーマットにサイケなロック、ハードロック、そしてパンクのサンプリングを落とし込んでいますよね。本当に音楽が好きで、色々な音楽を聴いていたんだろうなぁ、と改めて(大量に)リスペクトを放出した40代男性でした。

今日からしばらくは90年代の音楽をUSAGI NO MIMIで聴きまくりたいと思います。

スタッフ村田