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【キャビも凄い】Amplified Nation 1×12 CAB

【キャビも凄い】Amplified Nation 1×12 CAB

先日ご紹介したAmplified Nationのアンプヘッドに続き、今回はキャビネットにフォーカスしてみたいと思います。

昨今のDスタイル・アンプ市場には数多くのブランド/モデルが存在しますが、Amplified Nation(以下A.N)のアンプヘッドを初めて単体でテストした際の第一印象は、「現代的に洗練されたトーンというよりも、オリジナルに忠実でトラディショナルな仕上がり」だな…と感じました。言い方を変えれば「結構野暮ったいな」という感じでした。
そして、それはオリジナルDアンプにも通じる「使いやすさよりも、アンプを乗りこなす事で生まれる楽器的/音楽的な音色を優先したからだろう」と思っていました。

しかし、正式にアンプが入荷し、同社の1×12キャビネットと組み合わせて鳴らした瞬間、その評価は根本から一新されることになります。

「まるで2×12の様に鳴る1×12じゃないか?」

G12-65 Heritageが搭載された1×12キャビと共にアンプを鳴らしてみます。すると、物理的なサイズから想像するよりも豊かな低域と、包み込むように立体的で巨大な音像が現れました。一般的な1×12キャビネットは構造上、出音がストレートで中域に意図的なピークが寄ることが多くそれがレコーディングでの扱いやすさにも繋がるのですが、A.Nのキャビネットはその特有の窮屈なミッドピークを持たず、柔らかさとフルレンジの再生力を備えていると感じました。

このブログでも何度も紹介していますが、キャビネットは最終的な出音を決定づける極めて重要なファクターです。昨今ではスピーカーIRでその事実をより深く理解できると思います。例えばFENDERアンプヘッドにMARSHALLやVOXのキャビネットIRを組みわせてみてください。アンプを変えるよりも音が変わる/狙った音に素早く辿り着ける事も多いのではないでしょうか?

AMPLIFIED NATION CABINETの秘密

A.Nのキャビネット構造は、ビルダーであるTaylor Cox氏のキャリアに起因しています。氏はアンプブランドを立ち上げる以前、インターネットの「Dスタイル自作コミュニティ」において、寸法データに基づく(制作が非常に困難とされる)スエード貼り筐体の製作・供給からビジネスをスタートさせた経歴を持ちます。AN社のアンプ回路は、彼が自社生産するキャビネットを基準(リファレンス)として定数やボイシングが調整されています。結果として、このヘッドとキャビネットの組み合わせは、電気信号と音響物理特性において齟齬が生じないように設計されています。

単に剛性と密度が高ければ「最高品質である」というわけではない

市場に流通する多くのDスタイル・レプリカキャビネットは、剛性を追求するあまりキッチリと作り込まれ過ぎており、音がタイトに詰まりすぎる傾向が見受けられます。対してA.Nのキャビネットは、オリジナルDキャブの構造と楕円ポート(Oval Port)による背圧コントロールを踏襲しつつも、実際の出音にはさらに「柔らかさ」と耳あたりの良い響きが感じられます。

これは、伝統的なバルトバーチ材ではなく、18mm厚のヨーロピアン・ポプラ・プライウッドを採用したことによる物理的な変化です。強烈な背圧を受け止める剛性を確保しつつ、過剰にタイトにならないポプラ材特有の適度な共振が、巨大な音像とトランジェントの柔らかさを生み出しています。
そしてもちろんスピーカーユニットも大切なファクターです。

【搭載スピーカー毎の特性】

現在我々がストックしているのは、2種類のスピーカー搭載モデルです。

一つはロベン・フォードやエリック・クラプトンのチョイスで今や定番となったCelestion G12-65 Heritage。そしてもう一つが、現在入手困難となっているEVM-12L Classicです。

Amplified Nationの112キャビネット(18mmポプラ材・楕円ポート構造)という共通のプラットフォームに搭載した際の、2つのスピーカーの明確なキャラクターの違いは以下の通りです。

Celestion G12-65 Heritage

「粘りと歌心を引き出す、ミッドレンジ・サチュレーション」

  • サウンド特性: ロベン・フォードがDumbleアンプに組み合わせたことで知られるスピーカーです。ピッキングに対して適度にコンプレッション(圧縮感)がかかり、中域が太く押し出されます。高域の耳障りな成分が自然にロールオフされるため、非常にスムースなトーンを持っています。
  • キャビネットとの相性: ポプラ材の持つ適度な箱鳴り(レゾナンス)とG12-65のコーン紙のたわみが相乗効果を生み、カスケード・オーバードライブ時に極めて音楽的な「粘り」を発揮します。
  • 向いているプレイヤー: ブルースやフュージョンなど、リードトーンでのサステインを重視する方や、ギターの手元ボリューム操作で滑らかなクリーン〜クランチを行き来するプレイヤーに向いています。

EVM-12L Classic

「アンプの素性を完全再生する、圧倒的なヘッドルームと解像度」

向いているプレイヤー: どこまでも澄み切ったワイドレンジなクリーンを求める方や、ペダルボードで構築したサウンドを一切の色付けなく大音量で鳴らしたいペダル・プラットフォーム派に向いています。

サウンド特性: 200Wの耐入力を誇る巨大なマグネット構造を持ち、大音量でもスピーカー起因の歪みが発生しにくいハイファイ・スピーカーです。特定の帯域にピークを作らず、アンプが出力した電気信号をロスなくそのまま強烈な音圧として放ちます。

キャビネットとの相性: この重量級ユニットが発する強烈な低域の背圧を、堅牢な18mm厚の筐体と楕円ポートが正確にコントロールします。結果として低域が暴れることなく、1×12とは思えない太いクリーンと、空間を支配する立体的なサウンドを生み出します。トランジェント(立ち上がりの速さ)はG12-65よりも高速です。前回の動画でもこのキャビネットを使用しています。

A.Nのアンプヘッドをご検討の際は、ぜひこのキャビネットと「セット」で導入していただくことを推奨します。

そして同時に、キャビネット単体での導入も有効な選択肢です。お手持ちのDスタイル・ヘッドが持つ本来のポテンシャルを解放するプラットフォームとしてはもちろん、MORGAN系に代表されるモダンクリーンアンプに、立体的で有機的な空気感を付加するツールとしても高い親和性を発揮します。

アンプヘッドの電気信号をスポイルすることなく、意図した音圧と音楽的な響きへと変換するための、独立した「音響装置」としてお試しください。きっと驚かれると思います。

村田