D-Style Amp 頂上決戦

AMPLIFIED NATION(以下AN社)の Wonderland Overdrive V2が入荷しました。日本では聞き馴染みのないブランドかもしれませんが、本国アメリカではDスタイル/ブティックアンプ制作の老舗であり、同じくDスタイルでその名を馳せた Two-Rockなどと比較され、よりヴィンテージテイストを色濃く残したサウンドメイクに定評があります。どちらもダンブル系(D-スタイル回路)をベースに持ちながら、設計思想や目指すサウンドの方向性に明確な違いがあります。
サウンド設計と回路のコンセプトに関して言えば、AMPLIFIED NATION / Wonderland Overdrive V2は「ハイブリッドなDスタイル」と言えます。クリーンチャンネルに「Steel String Singer(SSS)」系の煌びやかで超ワイドレンジなトーン(同社Wonderland回路)を配置し、ドライブチャンネルには「ODS(Overdrive Special)Skyliner回路」をカスケード接続した構成となります。トーンの傾向としてはヴィンテージのダンブル特有の「生々しく粘り気(Chewyな)ヒット感があります。アタックのコンプレッション感も色濃く、ヴィンテージコンプなどで得られるハイミッドのキャラクターと同じ質感が得られます。また、ヴィンテージDアンプ同様にFenderツインに通じるミッド〜ローの押し出し感があります。

Two-Rock(Classic Reverb Sig / Bloomfield Drive など)は 「洗練されたモダン・ブティック」として、D回路を基礎としつつも、もはや「Dを超えた」と称されるほどTwo-Rock独自の現代的なHi-Fiさと圧倒的な音の立ち上がりの速さ(レスポンス)、クリアな分離感をもった超ファットな低域を追及しています。トーンの傾向も非常にモダンでリファインされており、さらにノイズが極めて少なく、EQも帯域の濁りが一切排除された「シルキーで磨き上げられたクリーン・ドライブ」を生み出します。

クリーン・トーンとヘッドルームの質感にも違いがあります。Wonderland Overdrive V2はヘッドルームが非常に高いにもかかわらず、力強くピッキングするとヴィンテージアンプ特有の有機的な太さと、わずかにサチュレーションが乗ります。ピッキングの強弱に対してダイナミクスがダイレクトに変化するのが特徴です。対してTwo-RockはANを超える「どこまでも透き通る超広大なヘッドルーム」を持ち、どれだけ音量を上げてもサウンドが乱れない/崩れないハイファイ感があります。クリスタル・クリアで立ち上がりが極めて鋭く、各弦の分離感が際立つアンプだと言えます。

共に、ペダルの乗りは非常に良く、特にオーバードライブやファズとの相性が抜群であることは多くのミュージシャンの愛用によって明らかにされています。
最後にドライブ・チャンネルのニュアンスですが、Wonderland Overdrive V2 は粘りとブルーム(Bloom)が特徴で、 ノートを伸ばした際に音が「じわっ」と太く変化する、まさしくダンブルならではのBloom感を持ちます。中域がグッと前に出る「Honky / Throaty」なキャラクターが強調されており、クラシック・ロックやブルース系でプレイヤーのニュアンスを力強く表現するのに最適なアンプだと言えます。

Two-Rockはスムーズ&洗練されたきめ細やかな歪みが特徴で、深く歪ませてもピッキングアタックの輪郭が失われず、非常に滑らかなリード・トーンになります。バンドアンサンブルでも整音されつつ、埋もれない「まとまりの良さ」があります。この辺りがスタジアムミュージシャンに好まれる所以でしょう。

という訳で皆様に絶対に聞かれるであろう「ANとTwo-Rock比べてどうなの?」をテキストにしてみました。AN/Wonderland Overdrive V2と例えばTwo-Rock ODSなどは、似ている様で異なるサウンドとパフォーマンスを持っています。ANはヴィンテージアンプの手工品的なフィーリングを大切にしており、筐体やパーツ選定にもビルダー(Taylor Cox氏)のハンドメイド的なこだわりが強く反映されています。対してTwo-Rock 自社カスタムのトランスや専用設計の基板・配線パターンを徹底して精査し、量産品とハンドメイド・ブティックの境界を滲ませました。非常に安定したクオリティコントロールと、ノイズフロアの極めて低いプロ仕様のアンプ精度を誇ります。

さて、ではあなたはどちらを選ぶべきなのでしょうか?
AMPLIFIED NATION (Wonderland Overdrive V2) が向いている方は、やはりヴィンテージのDumble ODSやSSSが持つ「生々しい有機的な粘り」「太い倍音のサステイン」「ダイナミックな打感」を求めている方だと思います。Fenderアンプ的な温かみのある太さと、Dスタイルの伸びやかなドライブを1台で完結させたい方には最適で最上のアンプだと思います。
Two-Rock が向いている方はやはり 「徹底的にクリアで整った超高精度なサウンド」や、現代的なレコーディング環境で扱いやすい、洗練されたトーンを求める」方だと思います。ピッキングの速度やタッチの輪郭を損なわずに、クリアかつオーディオライクではなく音楽的に「ファット」なサウンドを得たい皆様。大型のペダルボードに最適なプラットフォームとしてはもちろん、空間系との相性も素晴らしいので多彩な音楽に適応すると思います。
渋谷店 村田