SPECTOR EURO NSはメタル向けベースなのか?
以前にもご紹介したスペクターベースのヨーロッパライン、弾いてみてやっぱりこのベースいいなぁ、という事でしつこくピックアップします。

SPECTOR EUROとは
USAスペクターは元々ハンドメイドでカスタムショップ的存在。なので非常に高価なベースでありましたが、このヨーロッパライン「Spector Euro」はチェコ共和国でライセンス生産されています。
チェコ共和国はギター製作において非常に評価の高い国のひとつであり、世界的に見るとアメリカや日本、ドイツなどに比べて知名度はやや劣るかもしれませんが、「職人の技術力」と「コストパフォーマンスの良さ」という点で実は非常に高く評価されている楽器も多いのです。特にアコースティック関連のソリスト向け楽器などが有名ですが、その技術力を武器にSpector Euroの様なUSAハイエンドの別ラインを担う事もある様です。
SpectorといえばNS
NSに関してもう少しみていきましょう。1977年にネッドスタインバーガーがスペクターのためにデザインした人間工学に基づいたフィット感とプレイアビリティを持つベースが「NSモデル」です。加えて、1979年から採用されたEMGピックアップとのコンビネーション(特にP/Jレイアウトが鉄板ですね)という王道のスペックは多くのミュージシャンに愛されました。
その「王道のNS」そのもののサウンドと雰囲気を併せ持っているのが、このSpector Euroシリーズなのです。弦高アクションの低さやスルーネックのサウンドも本当に上質でエイジドの仕上がり具合も素晴らしいです。
NS ベースの音は?
このNSベースの音をご存知ですか?本当に80年代Spectorスルーネック・ベースのサウンドはパワフルで素晴らしく、特に当時のポップスに求められていたパンチーでクリアなベースサウンドにうってつけでした。たとえば…デヴィッドボウイ「Let’s Dance」のベース。あの音、モロにNSですよね。
もう一つ、MadonnaのLike a Prayerのあの音。Spectorオフィシャルの面白い動画があります。
↑このシリーズ面白いのでミュージシャンの皆さんはチェックを。
さらにヘヴィーミュージックが大きく進化/変化した90年代オルタナティブシーンにおいてもNSベースの音は欠かせませんでした。
メタル&
オルタナティヴにもNS
メタリカの歴史においてターニングポイントとなった名曲ENTER SANDMANでジェイソンニューステッドが弾いたベースもP/JピックアップのSpector NS、さらに同年代に世界を席巻したPANTERAのレックスブラウンは長年Spector NSを愛用してきました。
関係ないけどPANTERAをSEPALTURAのライブに飛び入りしてベースを弾かされるジェイソン。もちろんベースはNSです。ダイムバックが歌うWhiplash…
また同じ時代のオルタナティヴロックを牽引したRed Hot Chilli PeppersのFleaも名盤マザーズミルクのRECにおいてSpector NSを使用していました。PJではなくJJの珍しい1本です。
関係ありませんがTシャツがGERMSなのが最高ですね。

アリスインチェインズのMike StarrもSpector bassの「あの音」を印象つけた一人でしょう。
他にも色々な名盤でSpector NS Bassの音は確認できますが…
今回言いたいのはとにかくこの「Spector Euro」のベースは、当時のNSの「あの音」をほぼそのまま再現している、という事です。
Spector Bassをよく知るミュージシャンに言わせれば「ああ、このSpector Euroはちゃんと【鳴るスペクター】になっているね」という事でした。Spectorの歴史は長く、色々な出来事、色々な仕様のベースがありましたが、80年代ー90年代の名盤で聴けるSpectorの音が得られるベースが実は少ないのです。オリジナルSpectorを弾いていきたミュージシャンが「これがSpectorの音だよ」言う事に間違いはないでしょう。
是非この音をお試しください。